特定建設業許可の取得に向けて確認しておくこと(前編)
一般建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者・専任技術者・500万円以上の資産などの難しい要件をクリアしなくてはなりません。
しかし、特定建設業許可を取得するためには、さらに要件が厳しくなります。
必要になったとしても、なかなかすぐに取得するというわけにはいきません。
なので、いずれ必要となりそうな業者さんが、前もって特定建設業許可がどのようなものなのかをある程度把握できていれば、特定建設業許可取得に向けての準備にも役立つこととなります。
このページでは、特定建設業許可とはどのようなものか取得に向けて確認しておくことを説明いたします。
1 特定建設業許可とはどのような許可なのか?
一般建設業許可と特定建設業許可の違いは、元請工事を下請に出す場合の発注できる金額に制限が設けられている点で違います。
特定建設業許可が必要になるのはどんな場合か?
特定建設業許可が必要になるのは、発注者から直接請け負った元請け工事において、4,000万円以上(建築一式工事の場合の場合には、6,000万円以上)の工事を下請けに発注する場合に、必要となる工事です。
この金額は、金額を分割して下請けに出しても、合計した金額によって決まります。
材料費を元請けが負担するような場合には、その材料費は金額には含みません。
あくまで、対象となるのは「元請け業者」のみです。下請け工事のみ請け負うならば、特定建設業許可は必要ありませんし、自社で施工するなどして、下請けに出す額が4,000万円未満に常に納めることが可能な場合にも、特定建設業許可は必要ないということになります。
特定建設業許可が必要にならない場合をまとめると、次のようになります。
・下請けを使うことがない業者(すべて自社施工する)
・下請けに4,000万円以上の工事を出すことがない
・下請けとしてのみ工事を行っている(元請けにならない)
逆に言えば、特定建設業許可を取得すると下請けに発注する金額に制限がなくなるということになります。
ただ、制限はないといっても、請負工事の全部をそのまま一括して下請けにだすことは、禁止されていますので、注意してください。(例外として、発注者の承諾を得ていれば可能)
2 特定建設業許可を取得するための要件
特定建設業許可は、発注者や下請け業者を保護することを目的としています。
元請け業者が倒産してしまうと、発注者や下請け業者にも多大な被害が出てしまいます。
それを防ぐために、特定建設業許可には一般建設業許可よりも、かなり厳しい要件が課されています。
特定建設業許可を取得するためには、5つの要件があります。
要件1 経営業務の管理責任者
要件2 専任技術者
要件3 財産要件
要件4 誠実性
要件5 欠格要件
要件の項目自体は、一般建設業許可と同じですが、専任技術者と財産要件をクリアするための基準がより厳しくなります。
要件1 経営業務の管理責任者
経営業務の管理責任者の要件は、一般建設業許可と同じ条件でクリアすることができます。
建設業許可の経営業務の管理責任者とは?を参考にしてください。
要件2 専任技術者
専任技術者の要件は、一般建設業許可と比べて厳しい要件が課されています。
特定建設業許可の専任技術者の要件は次のようになります。
次のいずれかに該当すれば、クリアになります。
① 許可を受けようとする業種で求められる資格を持っていて、常勤している人
求められる資格については、業種ごとで異なっていますので、専任技術者の資格要件をご覧ください。
特定建設業許可では、一般建設業許可と比べて、より上位の資格に絞られます。
許可を受けようとする業種が、「指定建設業」となると、1級の国家資格が必要になります。
指定建設業とは?
土木一式、建築一式、管、鋼構造物、舗装、電気、造園の7業種のことをいいます。
② 許可を受けようとする業種で十分な経験があり、常勤している人
一般建設業許可では、許可を受けようとする業種で10年の経験があれば十分な経験があるとみなされましたが、特定建設業許可では、一般建設業許可の基準に加えて、さらに4,500万円以上の元請け工事を2年以上、監督していた経験も必要になります。
なお、この要件は許可を受けようとする業種が、「指定建設業」となる場合には認められません。
さらに、①、②いずれの場合も営業所に常勤していることが必要になります。
以上が、特定建設業許可の専任技術者についての概要となります。
くわしくは、建設業許可の専任技術者とは?をご覧ください。
特定建設業許可の取得に向けて確認しておくこと(後編)に続きます。