分かりにくい経営業務の管理責任者の要件をくわしく解説(第3回)
要件③ 要件①②の人の経営経験や常勤性を証明する確認資料を用意できるのか?
最後に、要件①、②をクリアした人が、本当にクリアしているのかを証明する確認資料を用意する必要があります。
以下の事項を確認資料で証明しなければなりません。
1 建設業を行っていたこととその期間
2 経営者を勤めていたこととその期間
1,2の期間が5年以上または6年以上重複していることが必要です。
3 許可申請者の役員や個人事業主であること
4 申請者となる業者で常勤勤務していること
順番に、確認資料をまとめていきます。
1 建設業を行っていたこととその期間
まず、建設業を行っていたことについては、2つの事項から判断されます。
・建設業許可を持っていたか?
・請負工事の内容が確認できる資料が用意できるか?
これらのうちのどちらかを、必要な期間分用意できれば、建設業を行っていたことの証明となります。
建設業許可を持っていたかの確認資料と期間の確認方法
・確認資料
建設業許可の申請書や許可通知書、決算変更届など
・期間の確認方法
建設業許可を受けていた期間が、建設業を行っていた期間とみなされます。
許可通知書であれば、5年ごとの更新の際に送付されるので、許可通知書が用意できる間は5年間建設業を行っていたことが確認できます。
また決算変更届があれば、その年度は建設業を行っていたことが確認できます。
請負工事の内容が確認できる資料と期間の確認方法
・確認資料
請負工事の契約書、注文書、請求書など
・期間の確認方法
用意した資料にある日付の間隔が12ヶ月以上空かなければ、連続した期間の経験があるとみなされます。
このような考え方で、5年以上または6年以上分となるように確認資料を用意するわけですが、この期間は、この後に説明する経営者を勤めていた期間と重複していなければなりません。
2 経営者を勤めていたこととその期間
経営者とは、基本的には、会社の役員など・個人事業主・令3条使用人といった立場の人のことでした。
その確認資料と期間の確認方法について説明します。
経営者を勤めていたことの確認資料と期間の確認方法
・確認資料
会社の役員などの場合 登記簿謄本
個人事業主の場合 確定申告書(受付印のあるもの)
令3条使用人の場合 令3条使用人として登録されている建設業許可申請書など
・期間の確認方法
会社の役員などの場合
登記簿謄本に記載されている役員の就任・退任の日付で確認されます。
個人事業主の場合
提出する確定申告書の年数分で確認されます。
令3条使用人の場合
令3条使用人として登録されている建設業許可申請書や決算変更届などで確認します。
この場合の考え方は、建設業許可を持っていたかの確認で説明した考え方と同じです。
3 許可申請者の役員や個人事業主であること
・確認資料
許可申請者が法人である場合
その会社の登記簿謄本に役員として名前が記載されているかで、確認されます。
許可申請者が個人である場合
事業主本人が経管となる場合には、確認資料は必要ありませんが、支配人が経管となる場合には、登記簿謄本が必要になります。
4 申請者となる業者で常勤勤務していること
・確認資料
基本的には、
会社の役員などの場合 健康保険者証と標準報酬決定通知書で確認されます。
個人事業主の場合 国民健康保険者証で確認されます。
あとは、状況に応じて、住民税特別徴収税額通知書、住民税課税証明書などが必要になることもあります。
分かりにくい経営業務の管理責任者の要件をくわしく解説 まとめ
「経営業務の管理責任者」とは、日々、建設業の業務を統括して、取引によって生じる対外的な責任を負う立場の人のことをいいます。
経管となるには、経営経験が必要ですが、その経営経験とされる条件が要件として定められています。
その定められている要件をクリアすることができれば、経管になることができます。
経管になるには、次の要件3つをすべてクリアしなければなりません。
要件① 建設業に関する経営経験が5年以上または6年以上あるか?
要件② 要件①の人が、許可申請者の役員や個人事業主として、常勤で勤務しているか?
要件③ 要件①②の人の経営経験や常勤性を証明する確認資料を用意できるのか?
この3つすべてにあてはまる人が自分も含め、今の現状の中にいるのかを検討することになります。
経管の要件をクリアするためには、たくさんの選択肢を検討しなければなりません。
選択肢の中の一つを見落としていたために、許可の取得を諦めるなどといったことのないよう、慎重に確認しながら、検討を進めてください。