建設業許可に関連する法律 建設業法 第3章-5
第21条 契約の保証
建設工事の請負契約において請負代金の全部または一部の前金払いをする定めがなされたときは、注文者は、建設業者に対して前金払いをする前に、保証人を立てることを請求することができる。
ただし、公共工事の前払金保証事業に関する法律第2条第4項に規定する保証事業会社の保証に係る工事または政令で定める軽微な工事については、この限りでない。
2 前項の請求を受けた建設業者は、左の各号の一に規定する保証人を立てなければならない。
一 建設業者の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払いの保証人
二 建設業者に代わって自らその工事を完成することを保証する他の建設業者
3 建設業者が第1項の規定により保証人を立てることを請求された場合において、これを立てないときは、注文者は、契約の定めにかかわらず、前金払いをしないことができる。
第21条 解釈
工事をするためには、多額の資金が必要となります。
そのため、前払金があるということには、多くのメリットがあります。
しかし、その前払金が適正に使用されないとなると、メリットが得られません。
そこで第21条では、工事費用を前金で払う請負契約をしていた場合に、注文者は、その支払いをする前に、建設業者の債務不履行に基づく損害賠償請求権または工事完成請求権を担保する保証人を立てるよう、建設業者に対して請求することができると、定めています。
第22条 一括下請負の禁止
建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない。
3 前2項の建設工事が多数の者が利用する施設または工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。
4 発注者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。
この場合において、当該発注者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。
第22条 解釈
建設業者が請け負った工事を一括して下請負することは禁止されています。
(1)建設工事の発注者が受注者となる建設業者を選定するにあたっては、過去の施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用など様々な角度から当該建設業者の評価をするものであり、受注した建設工事を一括して他人に請け負わせることは、発注者が建設業工事の請負契約を締結するに際して当該建設業者に寄せた信頼を裏切ることになります。
(2)また、一括下請負を容認すると、中間搾取、工事の質の低下、労働条件の悪化、実際の工事施工の責任の不明確化などが発生するとともに、施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招くことにもなりかねず建設業の健全な発達を阻害するおそれがあります。
(3)このため、建設業法第22条は、いかなる方法をもってするかを問わず、建設業者が受注した建設工事を一括して他人に請け負わせること、および建設業を営む者が他の建設業者が請け負った建設工事を一括して請け負うことを禁止しています。(国土建第275号)
建設業許可に関連する法律 建設業法 第3章-5 まとめ
第21条
工事費用を前金で払う請負契約をしていた場合に、注文者は、建設業者に対して保証を求めることができると定めています。
前払金が適正に使用されないと、注文者が前払金を払う意味がありません。
それを防ぐための規定です。
第22条
一括して下請負にすることを禁止しています。
一括して他人に請け負わすようなことがあると、責任が不明確となり、信頼を損なうおそれがありますし、中間で多くの利潤がとられて、請負代金の増加や工事の質の低下にもつながる可能性があります。
さらに、ピンハネ業者というか、ブローカー業者的なものが出現し、建設業の発展の阻害となるおそれもあります。